雑感7 小説版2巻について

 BS11の「Zガンダム」再放送は13話まで消化。13話と言えば「今の私はクワトロ・バジーナ大尉
だ。それ以上でもそれ以下でもない」「そんな大人、修正してやる!」「これが若さか…」といった名
(迷)台詞がいっぱいの回です。本放送当時はもちろん視聴者目線で見ていたので、クワトロがシ
ャアであることを認めずカミーユが怒る展開にもそれほど疑問はなかったのですが、カミーユ目線
で見た場合シャアを殴るほどキレる必然があるのか?といったことが今更のように気になってしま
いました(笑)。アムロより早いペースでニュータイプとして開花しつつあるカミーユですから、この
時点でもうクワトロ=シャアと気付いていて、それでも偽名を貫くシャアが気に入らなかった、と考
えることはできそうですが、カミーユの狂犬ぶりを象徴するシーン(苦笑)として長く語り継がれてい
るだけあって、確かに突然キレた印象は否めない感じがします。ですが、個人的にはむしろ「これ
が若さか…」と呟いたシャアのほうにこそ、「いやいや、あんただって充分若いやんけ」と本放送当
時から思っていたものです(笑)。「Z」の時点でシャアは27歳くらいですから、そう考えると妙にジ
ジくさい発言なのではないかと。
 ちなみに富野監督が執筆した小説版では途中までのやりとりはほぼ同じですが、シャアが不機
嫌になったことを察したハヤトがすぐに謝罪して握手をしたので、カミーユが殴る展開はなかった
りします。アニメのほうはカミーユの特徴づけや映像としてのインパクトを考慮して、ああいうシー
ンを入れたと考えられなくもない?それと直後の場面でカミーユが「クワトロ大尉は本当にシャア
なのか」とロベルトに尋ねて「エゥーゴでは有名な話だ」と言われるやりとりがあるので、少なくとも
小説版ではクワトロの正体が公然の秘密だったことが描写されています。小説版のカミーユは総
じてアニメより電波な言動が減っていて、割と等身大の少年っぽい印象が・・・あると思うのは私だ
けでしょうか(苦笑)。
 アニメの進行とほぼ時期を同じくして、小説版の2巻がこの頃に発売されたように記憶していま
す。1巻はアニメ版の5話までを描いていましたが、2巻は6話から10話あたりをカミーユが書い
た日記を抜粋するという体で箇条書きのように簡略化し、11話から15話が中心となっています
(カミーユが日記をつける習慣があるというのは小説版が初出ですが、のちにアニメにもその設
定が描写されていたり)。それとリックディアスを盗んだカミーユの父をレコアが射殺し、物語中盤
以降はアーガマを降りてフェードアウトしてしまうのがアニメと小説版のもっとも大きな違いでしょ
うか。レコアというキャラは富野監督もかなり持てあましていたようで、劇場版として再編集する際
には存在そのものを抹消しようと思ったそうな。けれどもメインのストーリーにがっつり関わってい
たので消すに消せなかったとか。なので小説版ではレコアがティターンズに寝返ることも、エマと
相打ちになることもなかったりします。これらの展開がどこまで当初の構想通りだったのかは分か
りませんが(「ZZ」がなければエマは生き残る予定だったそうですが)、「Zガンダム」における富野
監督の迷いが見てとれる気がします。
 本放送当時の思い出で言えば、MSV大量投入や可変モビルスーツの登場、この時期に講談社
から出版された「Zガンダム」のムック本でついにZガンダムのデザイン公開(と言っても実はまだ
準備稿のもので、アニメ本編とは細部が異なっていましたが)と、子供心には作品が盛り上がって
きた印象がありました。アニメ誌がファンの反応を取り上げて「Zガンダム」批判を始めるのはもう
少し後になってからのことだったと思います。あ、でもサイコガンダムについては第一印象の時点
で私も周囲の友達も「格好悪い」という見解で一致していました(笑)。

                                                   (17/04/26)


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