おもひで

だいありーの過去ログです。

19/02/03

 明日の立春を前に春めいた空気感の一日でした。ちなみに今月の写真は宮城県栗原市の伊
豆沼で撮った、氷の上を歩く鴨です。

 もうすぐ平成が終わるということでテレビでは平成を振り返る特集をよくやっていますけど、私は
更に時代を遡ってなんとなく昭和の頃を振り返っていたり。「ダグラム」を見返している真っ最中で
あることは先日書きましたが、他にも伝説のギャグマンガ「マカロニほうれん荘」を読み返している
ところだったりします。
 恐らく平成生まれの世代は全く知らないであろう「マカロニほうれん荘」。昭和52年から54年まで
少年チャンピオンに連載された作品で、不条理ギャグを異様なハイテンションで貫き通す作風が
特徴の漫画です。私もリアルタイムで読んでいた訳ではないのですが、小学生高学年の頃にクラ
スメイトから勧められて読み、そのあまりのインパクトの強さに衝撃を受けました。毎回ストーリー
はあってないようなもので、とにかくキャラ達が破壊的に暴れまくり破滅的な結末を迎えるのがパ
ターンでした。当時の人気はすさまじいもので、作者は次第に疲れて連載を終わらせようとするも
のの編集部が許さず、最後はすっかり執筆意欲を失ってサインペンだけで原稿を描いていたそう
な。今では「消えた漫画家」と呼ばれたり漫画自体も幻の名作扱いだったりする、色んな意味で問
題作と言える作品です。
 実は一昨年心臓病で緊急入院したとき何故か唐突にこの漫画が読みたくなって(精神的に落ち
込んでいた反動でしょうか)、病室に持ち込んでいたタブレット端末で電子書籍を購入して読んで
いました。ですが電子書籍版は作者自選の傑作選みたいな内容で、読みたかったエピソードが収
録されておらず落胆。残念に思っていたのですが、なんと紙の単行本は今でも出版され続けてい
て全巻入手できると知り、通販で買ってちまちまと読んでいるところです。秋田書店は手塚治虫氏
や石ノ森章太郎氏の有名な作品は古いものでも出版し続けていますけど、「マカロニほうれん荘」
もいまだ版を重ねているとは驚きです。それだけ今でも読む人が多いということでしょうか。
 子供の頃は破壊的なギャグに目がいきがちでしたが、今読み返すと様々なパロディが盛り込ま
れていて、元ネタが分かってニヤリとするシーンが多かったり。と同時に、パロディシーンに描か
れている人物がとてもよく特徴をとらえていて、画力の凄さを改めて実感。頻繁に登場する兵器類
の描き込みも細かいですし、当時アシスタントを使わず一人で描いていたそうですけど、そりゃあ
毎週こんなクオリティを続けていたら疲れるわな、と思ってしまいました。ただ当時の流行ネタが
多いので、今となっては若い世代が読んでも伝わらない部分が多い気もします。その意味ではや
っぱり私のような世代が懐かしんで読む作品なのでしょうね。

 他には石ノ森章太郎氏の「番長惑星」を先日まで読んでいたのですが、石ノ森氏が少年チャン
ピオンで連載していた作品はこの「番長惑星」と「原始少年リュウ」ぐらいだと気付いて、少し意外
に感じたり。秋田書店と言えば「009」「幻魔大戦」をはじめ石ノ森作品の代表作を多く出版してい
るので(そして今でも紙の書籍で購入できるのは秋田書店刊行のものくらい)、実際に雑誌連載し
ていたのが2作品だけというのは驚きでした。手塚治虫氏や横山光輝氏といった大御所がホーム
グラウンドにしていた少年チャンピオンでしたけど、石ノ森氏はどちらかというと小学館(ビッグコ
ミックや少年サンデー)がホームグラウンドだった印象があります。それでいて単行本は秋田書店
が多いというのも面白い話です。


19/02/06

 先月は朝起きると外がまだ暗かったですが、最近はずいぶんと明るくなってきて、少しずつ春が
近づいていると実感。

 昭和の家電を模したガジェットが発売されるそうです。なかでも時折画面が砂嵐になって、叩くと
治るというテレビに思わず笑ってしまいました。確かに私が子供の頃はテレビの調子が悪くなった
らとりあえず叩くのが定番でしたけど、今思えばどーいう根拠でそんな手法が広まったのやら。
 https://www.phileweb.com/news/hobby/201902/05/2149.html

 上記のものはあくまでオモチャですけど、そう言えば実際に昭和のブラウン管テレビを模した液
晶テレビが家電量販店で売られていて、壮年のご夫婦が「懐かしい」と言ってチャンネルをがちゃ
がちゃ回していたのを思い出します。今では「チャンネルを回す」と言ってももはや通じないと思い
ますが、テレビのチャンネルがダイヤル式から現行のボタン式になった時はなんとなく未来的と感
じたものです。
 http://doshisha-av.com/tv/doshisha_vt.html

 盛岡の桜山神社に「ジョジョ」風の鬼が出現。確かに現在第5部がアニメで放送中ですが、何故
にプチャラティをチョイス?ジョルノよりは再現しやすそうな髪型ではありますけど。
 https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201901/20190131_33039.html


19/02/10

 全国的に記録的な冷え込みが続いた週末でした。うちのあたりも朝晩はマイナス6度くらいにな
りましたが、北海道でマイナス30度なんてニュースを見ると、まだ暖かいほうだと思えたり。

 先月からちまちまと見続けていた「太陽の牙ダグラム」を全話視聴完了。30話くらいまでは話の
進行ペースが遅くてややタルい印象がありましたけど、それ以降はぐっと作品のテンションが上が
ってきて一気にラストまで視聴できた感じでした。テロップ上は31話までが高橋良輔氏・神田武幸
氏のダブル監督、32話以降は神田氏のみ監督となっていますが、今では実質的に高橋監督作品
扱いですし、実際はどういう役割分担だったのか気になるところです。
 「ダグラム」に対する批判として「主人公達が大局に関与しない」とか「ダグラムがいなくても物語
が成立する」とか言われますが、太陽の牙は独立運動の中心として作戦の要になることが多いで
すし、ダグラムもシンボル的存在として敵味方から重要視されていますし、そこまで蚊帳の外でも
なかった、というのが私の印象でした。もちろん政策を決めるのは大人達ですし、革命の結末に
は直接関わっていないかもしれませんけど、それを言ったらアムロだってザビ家を倒してはいない
訳で。少年達の可能な範疇で充分独立運動に寄与していたと思いました。ただシリーズ終盤は政
治劇を描くのに手一杯で、戦闘シーンが必要最小限度みたいなバランスになっていたのは確か
に気になったかも。もっとも個人的にはそれが面白くて、最後のほうは止まることなく視聴すること
ができたという側面もありましたが。
 政治ドラマ部分は本当によくここまで描いたと感心する出来で、大人になってから視聴したほう
が楽しめる内容だと思えました。ただ思想的な部分の描写を深掘りしたため、アニメでここまでや
ってしまうと、ともすれば極右だ極左だといった考えに誘導してしまう危うさを孕んでいるのではな
いかという気がしなくもなかったり(作品としてはあくまで公正に描いているとは思いますが)。思想
的な過激さでは富野作品のほうがよっぽどですけど(苦笑)、「ダグラム」の場合75話という長丁場
でじっくり描いているので、視聴者に与える影響がより大きい感じがします。アニメで政治思想を
どこまで描いてよいのかという課題を提示した作品でもあったのではないかと、そんなことを思っ
てみたり。
 一方リアルロボットものとしてはダグラムがあまりにチートすぎて、まだスーパーロボット的なノリ
を引きずっている作品だと感じられました。ワンオフな機体のうえ破壊されても修理が難しいとい
う設定上めったに壊す訳にいかなかったのは想像できますが、ダグラムが戦場に出ればほぼ無
双という展開が多いのはやはり気になってしまいました。太陽の牙のメンバーも全員異能生存体
じゃないかというくらい被弾しないですし(笑)。その反動か、次回作の「ボトムズ」では逆に主人公
が乗っていようとも容赦なく破壊されまくっていましたけど。その辺はリアルロボットアニメの過渡
期らしい内容とも言えるでしょうか。
 個人的に残念だったのは最後まで作画レベルが向上しなかったことです。平行して「ボトムズ」
の制作があったとはいえ、特にラスト2話の作画がガタガタだったのはかなり勿体ないと思いまし
た。話数によってメインヒロインの顔が変わりまくるあたりは「テッカマンブレード」を彷彿させなくも
なかったり?(苦笑)
 あと、理想の挫折が物語の着地点なので仕方ないですが、シリーズ終盤は悪役とも言えるキャ
ラ達(特にラコック)の活躍ばかりが続いて、「ずっと悪役のターン」みたいな感じで見ていてストレ
スが溜まりがちだったのは否めないかなと。元々4クールの予定が放送延長で6クールになった
弊害なのかもしれませんけど、そのあたりはもう少しコンパクトにまとめられなかったものやら。そ
こがリアルと言えばリアルなのかもしれませんし、まさしく「逆襲のシャア」でアムロが言った「革命
はいつもインテリが始めるが、(中略)気高い革命の心だって官僚主義と大衆に飲み込まれてい
く」を地でいく物語だったと(サマリン博士は世捨て人になる前に死んでしまいましたが)、そんな気
がしました。
 ここまで真っ正面から政治ドラマ中心のアニメは後にも先にもなく、その意味では異色のロボッ
トアニメだと思います。ファーストガンダムのヒットを受けてこんなにも冒険的な作品を作った当時
のサンライズがいかにチャレンジャーだったか、改めて思い知った今回の全話視聴でした。


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