おもひで

だいありーの過去ログです。

21/09/01

 9月は秋の涼しさでスタート。これで本当に残暑が終わってくれるとありがたいのですが。ちなみ
に今月の写真は奥州市の黒石寺で撮った、まだ色づく前のモミジです。

 先日2回目の新型コロナワクチン接種をしてきました。接種翌日には腕の痛みと倦怠感、少しの
発熱がありましたが、三日目にはだいぶ収まりました。接種2回目のほうが副反応が強いと聞い
ていましたが、人によって程度に大きく差があるようです。これで安心ということもなく、岩手は先
月から感染者が急激に増えているので、今まで以上に気をつけて生活せねばと思っているところ
です。

 それでは予告通り「Vガンダム」の雑感を始めたいと思います。・・・が、その前に今回は導入部
として「Vガン」が放送されていた1993年について少し振り返ってみようかなと。
 93年は、それまでのバブル経済が崩壊し、現在まで続く不景気のまさにスタートした年でした。
私は当時大学4年生だったのですが、前年まで学生優位の就職活動だったのが突如就職氷河期
に突入して苦戦した記憶があります。今では考えられないことかもしれませんけど、大学の先輩
達は会社訪問のたびに企業から交通費が支給されていて、みんなこぞって遠方へと出かけてい
ました。それが私が就活する番になった途端全て自腹になったのですから、会社訪問や入社試
験を受けるにも厳選する必要に迫られたものです。以来20数年、一時的に持ち直したこともある
とはいえ景気が悪いままとは当時の私には全く予想できなかったことです。そりゃあ「デレステ」で
13歳の椎名法子が「バブルって何ですか?」と聞くのも無理ないですよ、早苗さん(笑)。
 閑話休題。93年頃の世界情勢は、東西冷戦が終結してヨーロッパを中心に内戦や紛争が多発
していた時期でもありました。「Vガン」の舞台が東欧からスタートしたのも、そんな世界情勢を反
映したものだと富野監督は当時コメントしています。
 アニメをとりまく状況については、バブル期にOVAが爆発的に増えたことでアニメーターが慢性
的に不足し、とりわけテレビアニメは作画崩壊がデフォになっているような有様でした。劇場作品
でさえ「F91」をはじめ「風の名はアムネジア」「サイレントメビウス」「老人Z」等公開時に作画が間
に合わず、ビデオ化の際に完全版を謳った作品が幾つもありました。「Vガン」は作画が良くないと
言われがちですが、当時に関しては「Vガン」に限ったことではなかったように思います。
 「Vガン」はガンダムシリーズの中でもとりわけ暗くて救いがない印象がありますけど、前年に放
送されたアニメ「テッカマンブレード」(こちらも作画崩壊が良くも悪くも有名な作品)もまた徹底的に
暗くて救いがない内容でした。バブル経済で日本中が浮かれていたなか、それに冷や水を浴びせ
るようなアニメは「Vガン」に限らず存在していたと言えます。
 とまぁそういう時代背景を知ったうえで「Vガンダム」を視聴すると、また違った見え方をするので
はと思う次第。てなことで次回から本題に入っていく予定です。


21/09/05

 過ごしやすい気温が続いています。ただ先月同様に晴れ間が少ないのは困りものかも。

 「Vガンダム」雑感は今回から本題に突入です。私がアニメ誌で初めて「Vガン」の情報を見た時
の印象は、正直かなり悪いものでした。ガンダムの新作と聞いて当然「F91」の続きと思っていた
のに、いきなり全くの別物。しかも「ビクトリーガンダム」というストレートに子供向けなタイトルや、
異形感溢れるザンスカールのモビルスーツ群、安彦氏や北爪氏とも大きく異なる逢坂氏のキャラ
デザ、更には「今回は子供がメインターゲットで、RPGの要素を取り入れる」という記事内容に相
当がっかりした記憶があります。もちろん「ZZ」の前例があるので子供向けと言われても鵜呑みに
はしなかったですが、それでも違和感が強いデザインの数々やストーリーに不安が募ったのは確
かです。
 そして放送が始まると、印象はますます悪くなりました。事前にアニメ誌で告知があったとはい
え、本来4話だったものを1話として放送されていきなり大混乱。話が全く頭に入ってこない1話に
「なんじゃこりゃ」と呆然としてしまいました。おまけに2話以降を見れば話が分かると思ったのに、
回を追うごとに理解不能な部分がもっと増えてゆく状況で、見ていて次第に腹が立っていきまし
た。富野作品の1話は分かりにくいのが定番ですけど「Vガン」は輪をかけて説明不足で、視聴者
に理解させる気が全くないと思えるほどでした。ここまで不親切な1話は「Vガン」と「ブレンパワー
ド」が双璧だと個人的には感じています。
 「Vガン」序盤の何がひどいかと言うと、作中の単語の説明が全くないことです。1話からいきなり
「ベスパ」「イエロージャケット」「ラゲーン」「ウーイッグ」といった単語が次々と出てきて、それらが
何を指すのか分からないまま話が進みます。そもそも予め情報を仕入れておかないと、「ザンス
カール」と「ベスパ」と「イエロージャケット」が全て同じ敵を意味する単語だなんて分かるはずもあ
りません。それを各キャラが勝手気ままに口にするのですから「今の台詞は何?」となってしまう
のは当たり前です。当時はまだインターネットもなく番組ホームページも当然ないので、情報を得
るにはアニメ誌を読むしかありませんでした。ですが放送が始まったばかりの作品をアニメ誌が
詳細に解説するはずもなく、視聴者置いてけぼりで放送が進んでゆく感覚がありました。
 あと当時私は大学で国文学を専攻していたので、作中の台詞が時折日本語として間違っている
のが妙に気になってしまいました(笑)。例えば1話の「我々の目的は、地球連邦政府に活を入れる
ために動いているんだ」といった台詞。文法的に考えれば「我々の目的は、地球連邦政府に活を
入れることだ」でいいはずです。なのに「動いているんだ」が付け加えられているため、文章がねじ
れてしまっています。もしくは主語が「我々は」であれば別に不自然ではありません。つまりこの台
詞は本来二つの表現を一つにまとめているため、違和感のあるものになったと言えます。こんな
感じの台詞が時々顔を覗かせるので、素直にドラマを楽しめないという側面がありました(苦笑)。
もちろん現実の人間が常に正しい文法で喋っている訳ではないので、今となってはこういう台詞の
ほうがより生身の人間っぽいと思えます。ただ子供向けの番組であるからこそ正しい日本語表現
を、とか考えてしまうのは私の頭が堅すぎるのでしょうね。
 ともかく「Vガン」の序盤は印象が悪くなる一方で、積極的に続きが見たいと思える作品ではあり
ませんでした(次回へ続く)。


21/09/08

 今日は肌寒いと感じるほど気温の低い一日でした。でも明日から夏の暑さが戻ってくるそうで、
本当に?と思ってしまいます。

 「ルパン三世」の新シリーズで次元大介の声が小林清志さんから大塚明夫さんに交代するとの
こと。これでシリーズ1作目から演じていたキャストが全員交代となりました。ちなみに大塚氏はお
父さんの大塚周夫さんが1作目で石川五右エ門を演じていますから、親子2代で作品に出演する
ことに。なにはともあれ50年お疲れ様でしたと言いたいです。
 https://www.phileweb.com/news/hobby/202109/07/4807.html

 「Vガンダム」雑感の続き。シリーズ序盤を見ていて不満だったのは、映像の端々に妙な違和感
を覚えたのも理由の一つでした。影をつけない作画がショボかったのはまだ我慢できましたが、
台詞回しや演出に時々引っ掛かる部分があって、上手く言えませんが全体的にぎこちなさを感じ
ていたのは確かです。シリーズ構成の園田英樹氏をはじめ富野作品に関わるのが初めてのスタ
ッフが多かったからでしょうか、富野作品なんだけど富野作品らしくないというか、そんなちくはぐさ
があったように思います。なので、後に発売されたムック本のインタビューで「Vガン」のシリーズ前
半は若いスタッフに任せる方針だったと富野監督が語っていてひどく納得したものです。
 一方で、子供向けにすると公言しながら敵パイロットが主人公の目の前で自爆したり、レジスタ
ンスのリーダーがギロチンにかけられて処刑されたり、華やかに登場した女性パイロット達が次
の話数からどんどん死んでいったりと、狂気が漂う展開にミスマッチ感も抱いていました。ある意
味いつもの富野作品ではあるのですが(笑)、放送開始前に発表された記事とあまりに中身が違う
ので、どこまでが予定通りの構成なのか訝しく思ったりも。それでも、子供の目線から見た戦争の
不条理さを描いているらしいと気付いてからは、それなりに面白さも感じるようになりました。特に
1クール目の終盤、アーティジブラルタルの2編は個人的にも好きなエピソードで、やっと「Vガン」
がやろうとしているのはこういうことなのかなと思えるようになりました。
 ところが2クール目に入ると作品の方向性が変わってしまい、再び戸惑うことに(次回へ続く)。


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