おもひで

だいありーの過去ログです。

21/10/03

 10月に入っても外ではセミが鳴いています。そして明日の予想最高気温は31度。残暑継続中?
ちなみに今月の写真は地元で撮ったコスモスです。

 前期のアニメ「小林さんちのメイドラゴンS」について少し追記。最終回のラストが昭和ラブコメ風
というか「うる星やつら」っぽい演出で、「何故にこんな終わり方?」と思ったのですが(単に映画
「卒業」のパロディだったのかもしれませんが)、そーいやトールとラムってどちらも角があって押し
かけ女房という共通点があるな〜と気が付いてみたり。だから「うる星」風エンドだったと考えるの
は勘ぐりすぎなのでしょうけど、そんなことを連想しました。

 「Vガンダム」雑感の続き。4クール目で印象に残った「女」について、作品を見ていて私が特に
感じたのは「行き過ぎた母性」でした。
 4クール目で最初に活躍して散っていった敵パイロットのルペ・シノは、一度会っただけのウッソ
に自分の理想を見出して無理矢理母親になろうとしました。続くファラ・グリフォンもウッソに対して
「遊んでやっているんだ」と言いながら殺し合いを強要します。ザンスカールの象徴であるマリアは
全ての人類の母になることを願いながらも、結局は大量虐殺に利用されたあげくタシロに撃たれ
ます。そこに共通しているのは「行き過ぎた母性は身を滅ぼす」ということです。
 当時のアニメ誌でも指摘されていましたが、「Vガン」に出てくる女性たちは(シュラク隊も含めて)
みんなウッソに理想的な子供像を見出して母親になろうとしました。けれどもそれは幻想にすぎな
いからこそ、戦争のなかで儚く散ってしまいます。その中でウッソに理想を押し付けない女性キャ
ラが二人います。マーベットとカテジナです。
 マーベットは物語序盤からウッソに対し他の子供達と分け隔てなく接していて、あくまで等身大の
子供として教え導いています。そしてオリファーの子供を宿し、幻想ではなくちゃんと自分の力で母
親になります。死んでいった多くの女性キャラと、最後まで生き残ったマーベットの大きな違いは
そこです。「Vガン」のテーマの一つには「期待をかけられすぎた子供は不幸である」という当時の
教育戦争に対する警鐘があったとのことなので、「行き過ぎた母性の末路」として繰り返し悲劇が
描かれたのではないかと思います。
 ではカテジナはどうだったのか。彼女は逆にウッソから理想を押し付けられて壊れた女性でした
(次回へ続く)。

  先日誕生日を迎えて私も50代の仲間入り。身体のあちこちにガタが来て、10代20代の頃には想
像もしなかった衰えに「年をとるというのはこーいうことか」と実感しています(笑)。年をとったから
こそ分かることや見えるものもあるはずで、せめて老害化ではなく老成していきたいものです。


21/10/06

 昨日まで続いていた残暑も今日は少しクールダウン。このまま秋本番になってくれると良いので
すが。

 身売りが決まって部門毎にあちこちへ切り売りされているオンキヨーですが、ハイレゾの配信サ
イトであるe-onkyoはフランスの会社が引き取ることになったとのこと。個人的にハイレゾ楽曲は
ずっとe-onkyoで購入しているので、ここが無くなると非常に困ります。なのでとりあえず存続が決
まったようで一安心。国内におけるハイレゾ配信の老舗中の老舗だけに、変わらぬサービスを続
けてほしいものです。
 https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1355765.html

 「Vガンダム」雑感の続き。カテジナについては4クール目で印象的だった「狂気」とも強く結びつ
いていますけど、彼女があそこまで壊れてしまった理由は何だったのでしょうか。
 前にも書いたように、シリーズ序盤のカテジナは作中の登場人物のなかでも特に常識的な感覚
の持ち主でした。5話では戦いに取り込まれてゆくウッソに「怖い人にだけはならないでね」と忠告
したりと、優しい一面を覗かせたりもしています。ただお嬢様育ちの理想主義者であるがゆえに、
リガミリティアに馴染めずにいました。そこへ現れたのが白馬の王子様であるクロノクルです。人
質という経緯はあるにせよ、彼女をレジスタンスから連れ出したクロノクルは、女王の弟という身
分もあってまさしく一目惚れにうってつけの王子様だったと言えます。結局カテジナは敵をスパイ
するという言い訳を周囲にも自分にも言い聞かせて、そのままクロノクルについていってしまいま
す。
 シリーズ中盤で再登場したカテジナは敵パイロットとしてウッソの前に立ちはだかります。そこで
は目的遂行のために市民の犠牲もいとわない言動を見せますが、根底にあったのはクロノクル
に認められたいという恋心だったように思います。理想主義者らしく事ある毎にマリア主義やザン
スカールの理想を口にしますけど、ウッソが指摘したように本当にそれを信じていたとは見えず、
戦いを正当化するための口実を唱えて自分を納得させようとしていたように感じられました。少な
くとも、3クール目までのカテジナは残虐行為もするけれどまだ理性的だったと言えます。
 それが4クール目終盤にウッソと対峙した時にはすっかり壊れていて、女性パイロット達に水着
の恰好をさせてV2ガンダムと戦わせたり、女王様気どりでクロノクルとウッソをもてあそぶような
言動をしたりと、1クール目の頃とはすっかり別人になっていました。エンジェルハイロウの影響を
受けて人格に破綻をきたしたとも見えますが、それ以上に彼女を変えてしまったのはやはりウッソ
の存在だったと思います。
 ウッソにとってカテジナは初恋のお姉さんでした。シリーズ序盤でウッソがモビルスーツに乗って
戦ったのは彼女に褒めてもらいたかったからでもありました。45話でウッソ自身が言ったように、
カテジナにはいつまでも憧れの女性であり続けてほしいというのが彼の願いであり、そのために
敵対した後もずっと追いかけ続けていた側面があります。ですが、クロノクルという彼氏ができて
変わってしまったカテジナにしてみれば、昔の自分の姿を求め続けるウッソは鬱陶しい以外の何
物でもありません(何話か忘れましたが台詞ではっきりと言っています)。それがいつしか重荷にな
り、憎しみになり、カテジナの心を歪ませてしまったのがシリーズ終盤の狂気だったように見えまし
た(次回へ続く)。


21/10/10

 ようやく秋らしい涼しさになってきた週末でした。

 テレビCMに釣られて、声優・雨宮天さんのカバーアルバム「COVERS-Sora Amamiya favorite
songs-」を衝動買い。何故か70年代80年代の昭和歌謡ばかり歌ったカバーアルバムで、「若い
声優さんが何故?」と思いつつも実際にCDを聴いてみてびっくり。相当原曲に寄せた歌い方とア
レンジで、かなりリスペクトしていると感じました。収録曲の半分以上の原曲をCDで所有している
ので聞き比べてみましたけど、曲毎にオリジナルの歌手の声質に似せた歌い方をしていて、こう
いった器用なことができるのは声優の強みかなと思ったり。演奏も今どき珍しくきちんと生楽器を
使っていますし、当時のレコードに似たナロウレンジ感もあって、普段から80年代のアルバムを聴
きまくっている身からすると実に昭和的なリマスターのアルバムという印象を受けました。安直な
企画ものかと思いきや、気合の入った一枚で嬉しくなりました。
 ただ不思議なのは雨宮さんのファン層はもとより、その親御さんでもリアルタイム世代ではない
でしょうに、こんな50代以上を狙い撃ちしたようなアルバムを出そうと思った意図や経緯が気にな
ります。最近は昭和のヒット曲が若い世代にも人気というトピックスを先日見かけましたが、それも
あってのリリースだったのでしょうか。
 http://www.amamiyasora.jp/artist/amamiyasora/info/532928

 作曲家のすぎやまこういち氏がお亡くなりになりました。享年90歳。世間的な代表作は「ドラク
エ」なのでしょうが、個人的には何と言っても「イデオン」です。クラシックからジャズ、ロックまで多
彩な楽曲を披露しつつ、どれも耳に残る名曲ぞろいで映像と共に強烈に記憶に刻まれています。
特に「発動篇」クライマックスで流れた「カンタータ・オルビス」はラテン語による混声合唱の讃美歌
で、今なおアニメ史上に残る名曲中の名曲だと思います。謹んでご冥福をお祈りします。
 https://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1356787.html
 https://www.youtube.com/watch?v=tY9E9TUUcHg

 「Vガンダム」雑感は次回再開予定です。


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