おもひで

だいありーの過去ログです。

21/10/13

 今週は平年並みの気温まで下がってきましたが、逆に「普段10月ってこんなに涼しかったっけ」
と思ってしまったり。慣れとは恐ろしいものです。

 「Vガンダム」雑感の続き。カテジナにとって不幸だったのは、白馬の王子様であるクロノクルが
思った以上に凡人だったとこではないかと。4クール目で冴えない言動を見せるクロノクルにカテ
ジナが落胆する場面がありますけど、パイロットや指揮官としては優秀でも野心家ではない彼は、
どこまで行っても凡人の域を出ることのないキャラでした。
 思えば「Vガン」には格好良い男キャラが登場せず、リアルタイムで見ていた頃は物足りなさを覚
えた記憶があります。本来ならウッソのライバルポジションのクロノクルもアニメ誌でパンツ男と揶
揄されるほど冴えなかったですし、シリーズを通して女性ばかり印象に残る作品でした。当時のイ
ンタビューで富野監督は格好良い男が出てこないことについて「本気で作っていないからです」と
答えていましたけど、今にしてみれば世相を反映していた面もあった気がします。
 繰り返しになりますが、「Vガン」が放送された93年はバブル経済が崩壊した年でした。バブル期
と言えばボディコンの女性たちがディスコで扇子を持って踊っている姿が象徴的によく紹介されま
す。私も実際に当時のディスコでそういう女性たちを見ているので、あの映像は確かにバブル期
のイメージ画に適したものだと思えます。そしてあの頃は、今とは少し違う形で女性たちが自己主
張を強めていた時期でもありました。
 例えばバブル期にヒットした平松愛理さんのシングル曲群を聴くと分かりやすいのですが、男を
手玉にとって恋愛を楽しむ女性像がある種オシャレだったりカッコよいという風潮があったのは確
かです。「アッシー君」「メッシー君」と言った言葉が流行したように、女性にとって男は都合の良い
アクセサリーみたいなもの、という恋愛観がもてはやされていた節はありました。何せ幼女向けで
あるはずの「セーラームーン」でさえ主人公達は男を求めて東奔西走する肉食系で、逆ナンパ目
当てで豪華客船のナイトクルーズに潜り込むなんて話もあったくらいですから。一方で男は「めぞ
ん一刻」の五代君に代表されるような優柔不断だけれども優しいみたいなタイプが平均的になっ
ていた・・・かも?(苦笑)ともかく「Vガン」で強い女性たちばかり目につくのは、そういった当時の風
潮の反映であり、カテジナは歪んだ恋愛観や履き違えた女性上位主義の末路として悲劇に見舞
われる役回りだったのかもしれません(次回へ続く)。


21/10/17

 岩手山で今日初冠雪を観測。やっと秋本番になってきましたけど、じわじわと冬も近づいている
ようです。

 「ブレンパワード」がブルーレイBOX化決定。根強い人気のある作品なので、発売を待ち続けた
ファンも多いのではないかと思います。かく言う私も購入を検討中。CMのナレーションで久しぶり
に比瑪役の村田秋乃さんのお声を耳にしましたが、当時より落ち着いた雰囲気はあっても変わり
ない印象で嬉しくなりました(たしか声優業を離れて長かったかと)。
 あと富野監督のコメントで「関係者には本当に迷惑をかけたと思っている」と語っていて少し驚き
ました。ストレートに謝罪の言葉を口にするのは珍しい気がするので、やはり年をとって丸くなった
のかなと思ったり。
 https://www.phileweb.com/news/hobby/202110/15/4922.html

 「Vガンダム」雑感の続き。4クール目で印象だったのは「狂気」と「女」でしたが、同時に子供達
を中心とした「健やかさ」を描いていたのが、それまでの富野作品と違うと感じたものでした。
 特にそれがよく分かるのが48話「消える命、咲く命」です。前半で女王マリアの死という狂気を描
きながら(マリアの亡骸を前に「火葬しなければ」と冷静にビームライフルを撃つウッソも狂気じみ
ています)、後半ではマーベットの妊娠を知って子供達が喜ぶ場面や、決戦を前にはしゃぎまわる
子供達とそれを優しく見守る大人達という描写がとても希望溢れるものになっていて、その対比が
実に見事です。ここまで「健やかさ」を前面に出しているのが意外で、初めて見た時はどこか新境
地に達したような印象も受けました。一方で作品全体を支配している狂気とあまりに対照的で、そ
の混在ぶりに戸惑う部分もありました。
 「Vガンダム」も含めて富野作品では赤ん坊が純粋さの象徴として描かれることが多いです。時
には謎パワーの源にまでなったりして(笑)、どんだけ理想をゆだねているのよ、と思うこともあった
りします。「Vガン」ではその思想を更に広げて、子供達も純粋さの体現者として描写されていま
す。それは、49話だったかでウッソがカガチに言ったように「子は親を乗り越えてゆくもの」という
のが「Vガン」のテーマの一つだったからではないかと思えます。インタビューで富野監督は「Vガ
ン」を「老人の理屈で作ったもの」と言っています。カガチやエンジェルハイロウに代表される思想
や作戦はまさしく老人の理屈による人類救済でした。だからこそ、それを打ち破る子供達は「健や
かさ」でもって全否定する必要があったと、そんな気がします。
 この「狂気」と「健やかさ」が危ういバランスで両立しているのが「Vガンダム」の面白さだと個人
的には思っているのですが、その行きつく先を完璧なまで綺麗に着地させたのが最終話のラスト
シーンでした(次回へ続く)。


21/10/20

 朝晩は一桁まで気温が下がるようになって、暖房器具の出番がやってきました。

 「デレステ」で今年のボイス総選挙で選ばれた3人が登場するイベントが始まりました。先日紹介
したように、新規ボイス3人のうちの一人は井上喜久子さんの娘さんの井上ほの花さん、あとは
「アイカツフレンズ!」でメインキャラクターを演じた二ノ宮ゆいさんと、去年「ラピスリライツ」で主人
公を演じた安齋由香里さんです。「デレステ」は新人声優を選ぶ傾向が強いイメージがありますけ
ど、去年あたりからそれなりに実績のある人を選出するようになった気がします。
 今回声がついたキャラの中で、超お嬢様アイドルの西園寺琴歌嬢は私も毎年投票していたアイ
ドルで、自分の投票が結果に反映されたのは初めてだったので嬉しかったり。私が「デレステ」を
始めた当初ガチャで引き当てたSSR(最上位のレアカード)が琴歌嬢でした。しかもライフ回復とい
う重宝カードだったので今なお活用する機会の多い子です。それもあってボイスがついてほしいと
思いずっと投票し続けていました。キャラ的にも、世間知らずの金持ちお嬢様がちゃんと努力して
一人前のアイドルに成長してゆく王道ストーリーが心地よくて、自然と応援したくなる子という印象
があります。ライブの時に何故か見せるドヤ顔も可愛らしいですし(今回の新曲PVでもドヤってま
す)、10年目にして声がついたのは本当に良かったと孫娘を見守る祖父母目線で喜んでいるとこ
ろです(笑)。
 https://twitter.com/imascg_stage/status/1450343478701875202

 「Vガンダム」雑感の続き。狂気に満ちた4クール目のラストを飾った最終回は、これまでのガン
ダムシリーズとは少し趣の違うものでした。本放送から1年遅れで視聴した私はアニメ誌等で結末
を知っていましたけど、それでも異色のラストシーンに少なからず感動したものです。
 ロボットアニメの最終回と言えば主人公とラスボスの決闘がお約束で、ガンダムシリーズといえ
どもその不文律は変わりませんでした。ファーストガンダムでさえ打ち切りの影響で路線の変更が
なけれぱ最後はザビ家と対決する予定でしたし、実際の映像ではライバルのシャアと戦っていま
す。
 ですが「Vガンダム」は本来倒すべき敵のカガチはエンジェルハイロウの分解に巻き込まれて事
故死、ライバルキャラのクロノクルはAパートでウッソに敗れて死亡、そして最後に立ちはだかった
のが初恋の人であるカテジナでした。初見の時は「なんでラスボスがカテジナ?」と戸惑ったもの
ですけど、繰り返しシリーズを見返しているうちにやはり最後の敵はカテジナでなければならない
と思うようになりました。それは、ウッソにとってカテジナこそがこの戦争における最重要人物だっ
たからです(長くなりそうなので今回はここまで。次回へ続く)。


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