雑感12 アニメ誌のZガンダム批判

 BS11で再放送中の「Zガンダム」は現在41話まで進行。本放送当時、この話数が放送された頃
にはもうアニメ誌で最終回の結末がネタバレされてしまい、見ている側は視聴意欲を削がれてし
まった感がありました。この件に関しては富野監督が各アニメ誌に対し「いい加減にしてくれ」と激
怒する事態ともなったのですが、個人的に終盤の展開を聞いた印象としては「ダンバイン」の焼き
直しっぽいと思ったものです(実際「Z」は「ダンバイン」制作中から企画が始まったためか幾つも
焼き直し要素があるので、その印象は的外れではなかったのですけども)。何よりファーストガン
ダムの希望溢れるラストに比べてあまりに救いのない結末で、「本当にこれは富野監督がやりた
かった話なの?」という疑問が拭えませんでした。や、実際これが富野監督のやりたかった結末
なのですが(笑)。
 この頃にはもうアニメ誌も堂々と「Zガンダム」批判を展開していて、放送が終わる前から既に
駄作・失敗作のレッテルを貼っているように感じられなくもありませんでした。「Z」は富野監督の
これまでの功績を称えてバンダイが自由に作らせた、というのが当時のアニメ誌の論調で、それ
ゆえ余計に富野監督個人に批判が集中する傾向がありました。実際はそう自由に作ってはおら
ず、他の作品同様スポンサーの横やりと戦い続けた作品だったと暴露されたのは実に90年代後
半になってから。当時ことさら「Z」が叩かれたのは、ファーストガンダム世代の反発が強かったの
に加えてこういうイメージが先行していたからではないかとも思ってみたり。
 41話までのストーリーに関しては、36話「永遠のフォウ」・37話「ダカールの日」で作品のテンショ
ンが最高潮に達した後、いきなりトーンダウンして迷走していると個人的には感じたものでした。
シリーズも終盤へ近づいているのにレコアの裏切りエピソードに何話も費やし、更にはロザミアを
妹キャラにして「お兄ちゃん」と言わせるに至っては、「ギャグでやってるの?」と思わずにはいら
れませんでした(苦笑)。ようやく出てきた第三勢力のアクシズ軍も全く動く様子がなく、こんな調
子で本当に作品をまとめられるのか不安になったものです。最終回まで見た後ならレコアやロザ
ミアのエピソードが必要だったと分かりますし、特にロザミアはカミーユの精神崩壊への引き金と
なるキャラなので、あれだけ話数を割いたのも理解できます。でもリアルタイムで見ていた時は
「なんでこんな脇道エピソードばかりやっているんだろう」と感じられて、この辺も終盤へ向けて視
聴意欲を削ぐ一因になっていた気がします。アクシズについては「ZZ」の製作が決まったため温
存しておく必要があったようですが、当時はそんな裏事情を知る由も無し。中学2年生の身として
は期待を込めて見続けた作品の4クール目がどうにも面白く感じられなくて、フラストレーションが
溜まっていた時期でした。おまけにこの時期発売されたサントラの3枚目がひたすら暗く、聴いて
いると欝になりそうな曲ばかり収録されていて(笑)、余計に作品のイメージがネガティブなものに
なったというのもあったり。もっとも、そう言いながらサントラの3枚目は当時自室で勉強する際に
ヘビーローテーションで聴きまくっていましたし、不満を抱きながらも結局最終回への期待はして
いたので、心底「Z」という作品が好きだったと言えるのでしょうね。

                                                   (17/11/24)


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