雑感3 放送当時のZガンダム批評
先日「Zガンダム」の本放送終了頃に出版されたムック本を古本で購入しました。懐かしく思い
ながらページをめくっていたのですが、掲載されているスタッフ・キャストのコメントがどれも「大変
だった」「つらかった」「話がよくわからなかった」といったものばかりで、誰一人作品に携わったこ
とを喜んでいる人がいないことに思わず苦笑。今でこそファーストガンダムに次ぐ人気作となって
いますけど、当時は酷評の嵐で、とにかく叩かれまくっていたことを思い出しました。
「Z」の本放送時には、アニメ誌に載っている読者からの便りにも「こんなにつまらない作品なの
に何故アニメ誌は毎回特集ページを組むのか」なんて批判が普通にあったり、アニメックの編集
長が「ファーストガンダムでZガンダムよりつまらない回はククルス・ドアンの島だけだ」と堂々公言
したりと、そりゃもう総スカンというか袋叩きというか、そんな意見が大半を占めていたものです。
とあるアニメ誌ではZガンダムの放送終了後の編集後記で「この一年、Zガンダムの記事を書くの
が苦痛で仕方なかった」なんてコメントまで残す始末。今思えばアニメを宣伝する立場のアニメ誌
までこぞって批判に回っていたのは異様な気もしますけど、それが許された時代でもあった訳で、
ある意味おおらかだった?(笑)
とにかく80年代は「Zガンダムは駄作」という評価がほぼ固定化していて、密かに思い入れが深
かった私としては微妙に肩身が狭かったりもしたのですけど(苦笑)、90年代に入り、LD-BOXが
記録的なヒットとなったあたりから肯定的な意見が増えてきた印象がありました。一説にはリアル
タイムで「Z」を見ていた世代が大人になり、LDを買う支持層の母体となったことや、公の場で「Z
は面白かった」と言えるようになったことが影響しているとも言われているようです。私がインター
ネットを始めた90年代後半にはネット上で人気作扱いされていて、「なんか昔とずいぶん評価が
変わった」と感じた覚えがあります。なので「Zガンダム」については、リアルタイムで見ていた世代
と後に作品を知った世代で大きく評価の異なる作品というイメージがいまだにあります。よく富野
作品は10年早いと言われますが、こういう評価の逆転を見ていると、さもありなんと感じたり。
(16/07/27)
もどる すすむ